通常、現在の企業は、たとえ小規模であっても、前述の一般的なネットワーク プロトコルに加えて、リアルタイム アプリケーションを顧客やビジネス パートナーとのやり取りに利用しています。 小規模企業が Cisco Telepresence エンタープライズ ソリューションのコストを負担するのは妥当ではないかもしれませんが、小規模な事業組織が手頃で妥当な価格で利用できる他のリアルタイム アプリケーション(図 1 を参照)もあります。 リアルタイム アプリケーションは、音声およびビデオ トラフィックが優先的に配信されるようにするために(他の種類のデータよりも)多くの計画と専用サービスを必要とします。 これは、適切な機器がネットワークに設置されていること、またネットワーク デバイスが優先度による配信を行うように設定されていることを、ネットワーク管理者が保障する必要があることを意味します。 図 2 に、リアルタイム アプリケーションをサポートする小規模ネットワークの要素を示します。

インフラストラクチャ

既存および提案されるリアルタイム アプリケーションをサポートするには、インフラストラクチャが各タイプのトラフィックの特性に対応する必要があります。 ネットワーク設計者は、既存のスイッチおよびケーブルが、ネットワークに追加されるトラフィックをサポートできるかどうかを判断する必要があります。 ギガビット伝送をサポートするケーブルは、生成されるトラフィックを伝送できるので、インフラストラクチャに変更を加える必要はありません。 旧型のスイッチでは、Power over Ethernet(PoE)がサポートされていない場合があります。 また、旧型のケーブルなどでは、必要な帯域幅がサポートできない場合があります。 これらのアプリケーションをサポートするには、スイッチとケーブルのアップグレードが必要になります。

VoIP

VoIP は、依然として従来型の電話機を使用している企業で実装されます。 VoIP では音声対応ルータを使用します。 これらのルータは、アナログ音声を従来の電話信号から IP パケットに変換します。 信号が IP パケットに変換された後、ルータは対応する場所間でこうしたパケットの送信を行います。 VoIP は統合 IP テレフォニー ソリューションよりもかなり安価ですが、通信の質は同じ基準を満たしてはいません。 小規模企業向けの Voice over IP および Video over IP は、たとえば Skype や Cisco WebEx の非エンタープライズ バージョンによって実現できます。

IP テレフォニー

IP テレフォニーでは、IP 電話自体が音声を IP に変換します。 音声対応ルータは、統合 IP テレフォニー ソリューションを備えたネットワーク内では必要ありません。 IP 電話は、コール制御およびシグナリングに専用のサーバを使用します。 現在、多くのベンダーが小規模ネットワーク向けの専用 IP テレフォニー ソリューションを扱っています。

リアルタイム アプリケーション

ストリーミング メディアを効果的に転送するため、ネットワークでは、遅延に影響されやすい配信を必要とするアプリケーションをサポートできることが必要です。 RTP(Real-Time Transport Protocol)および RTCP(Real-Time Transport Control Protocol)の 2 つのプロトコルは、この要件をサポートします。 RTP と RTCP は、QoS(Quality of Service; サービス品質)メカニズムの組み込みを可能にすることで、ネットワーク リソースの制御とスケーラビリティを実現します。 これらの QoS メカニズムは、リアルタイム ストリーミング アプリケーションの遅延問題を最小限にするための有益なツールです。