ネットワークの実装後は、適切に動作していることを保証するために、ネットワーク管理者がネットワークの接続性をテストできるようにする必要があります。 また、ネットワーク管理者のためにネットワークを文書化しておくのが得策です。
この ping コマンド
ping コマンドの利用は、接続性をテストするための効果的な方法です。 多くの場合、このテストはプロトコル スタックのテストと呼ばれます。ping コマンドは OSI モデルのレイヤ 3 からレイヤ 2 へ、さらにレイヤ 1 へと処理を移してくからです。 ping では ICMP プロトコルを使用して接続性をチェックします。
ping コマンドによって問題の本質が必ず特定されるわけではありませんが、このコマンドは、ネットワーク障害をトラブルシューティングする際の最初の重要なステップである、問題の原因の特定に役立つ場合があります。
ping コマンドは、プロトコル スタックのチェックやホストでの IPv4 アドレス設定の確認を行ったり、ローカルまたはリモートの宛先ホストへの接続性をテストしたりする方法を提供します。 telnet や trace など、ping よりも多くの情報を提供できる追加ツールもあります。これらについては、後で詳しく説明します。
IOS の ping インジケータ
IOS から ping を実行すると、送信された ICMP エコーごとに、複数のインジケータの 1 つが表示されます。 最も一般的なインジケータは次のとおりです。
- ! - ICMP エコー応答メッセージの受信を示します。
- . - ICMP エコー応答メッセージを待っている間に時間切れになったことを示します。
- U - ICMP 到達不能メッセージを受信したことを示します。
"!"(感嘆符)は、ping が正常に完了し、レイヤ 3 の接続性が確認されたことを示します。
"."(ピリオド)は、通信に問題があることを示している可能性があります。 接続性の問題がパス上のどこかで発生したかを示している場合もあります。 また、このパス上のルータに宛先へのルートがなく、ICMP 宛先到達不能メッセージが送信されなかったことを示している場合もあります。 さらに、ping がデバイスのセキュリティによってブロックされたことを示している場合もあります。
"U" は、パス上のルータに宛先アドレスへのルートがなかったか、ping 要求がブロックされ、ICMP 到達不能メッセージが返されたことを示します。
ループバックのテスト
ping コマンドを使用すると、ローカル ホストの内部 IP 設定を確認できます。 このテストは、ループバック(127.0.0.1)と呼ばれる予約済みアドレスに対する ping コマンドによって実現されることを思い出してください。 このテストでは、ネットワーク層から物理層へのプロトコル スタックの動作、さらに反対方向の動作が適切かどうか、実際に信号をメディアに送出することなく確認します。
ping コマンドはコマンドラインで入力します。
次の構文を使用して、ループバックに対する ping を実行します。
C:\> ping 127.0.0.1
このコマンドを実行すると、次のような応答が返ります。
Reply from 127.0.0.1: bytes=32 time<1ms TTL=128
Reply from 127.0.0.1: bytes=32 time<1ms TTL=128
Reply from 127.0.0.1: bytes=32 time<1ms TTL=128
Reply from 127.0.0.1: bytes=32 time<1ms TTL=128
Ping statistics for 127.0.0.1:
Packets: Sent = 4, Received = 4, Lost = 0 (0% loss),
Approximate round trip times in milli-seconds:
Minimum = 0ms, Maximum = 0ms, Average = 0ms
この結果は、4 つの 32 バイト テスト パケットが送信され、1 ミリ秒以内にホスト 127.0.0.1 から返されたことを示しています。 TTL は、存続可能時間(Time-to-Live)を表し、ping パケットがドロップされるまでの残りホップ数を定義します。