実行コンフィギュレーション ファイルは、Cisco IOS デバイスに適用されている現在の設定を表しています。 図 1 に示すように、このファイルにはネットワーク上でのそのデバイスの動作を決定するためのコマンドが含まれています。 実行コンフィギュレーションに変更を加えると、それがシスコ デバイスの動作にただちに反映されます。

実行コンフィギュレーション ファイルは、デバイスのワーキング メモリである RAM(Random Access Memory)に保存されます。 このことは、シスコ デバイスの実行中(電源が入っているとき)に、実行コンフィギュレーション ファイルが一時的にアクティブになっていることを意味します。 しかし、デバイスの電源が失われるか、デバイスが再起動されると、実行コンフィギュレーションに対して行った変更は、それらの変更を保存していない限り、すべて失われます。

実行コンフィギュレーション ファイルに対して変更を行った後は、次のいずれかを行うことを検討してください。

スタートアップ コンフィギュレーション ファイルは、リブート時にデバイスで使用される設定を表します。 スタートアップ コンフィギュレーション ファイルは、NVRAM に保存されます。 ネットワーク デバイスを設定し、実行コンフィギュレーションに変更を加えたら、それらの変更内容をスタートアップ コンフィギュレーション ファイルに保存することが重要です。 そうすれば、電源障害や意図的な再起動で変更内容が失われるのを防ぐことができます。

変更を確定する前に、デバイスの動作を確認するための適切な show コマンドを使用してください。 図に示すように、show running-config コマンドを使用すると、実行コンフィギュレーション ファイルの内容を確認できます。 変更内容が適切だと確認できたら、特権 EXEC モード プロンプトで copy running-config startup-config コマンドを使用します。 実行コンフィギュレーションをスタートアップ コンフィギュレーション ファイルに保存するコマンドは次のとおりです。

Switch# copy running-config startup-config

これを実行すると、実行コンフィギュレーション ファイルによってスタートアップ コンフィギュレーション ファイルが更新されます。

実行コンフィギュレーションに対して行った変更の効果が望ましいものでない場合は、デバイスを以前のコンフィギュレーションに戻すことが必要になることもあります。 変更内容をスタートアップ コンフィギュレーションに上書きしていなければ、実行コンフィギュレーションをスタートアップ コンフィギュレーションで置き換えることができます。 その場合、特権 EXEC モード プロンプトで reload コマンドを使用してデバイスを再起動します。

リロードが開始されると、スタートアップ コンフィギュレーションに保存されていない変更が実行コンフィギュレーションに含まれていることを IOS が検知します。 このとき、プロンプトが表示されて、変更を保存するかどうかが問われます。 変更を破棄するには、n または no と入力します。

さらに、リロードを確認するプロンプトが表示されます。 同意するには、Enter キーを押します。 それ以外のキーを押すと、プロセスが中止されます。

次に例を示します。

Switch# reload

System configuration has been modified. Save? [yes/no]: n

Proceed with reload? [confirm]

*Apr 13 01:34:15.758: %SYS-5-RELOAD: Reload requested by console. Reload Reason:

Reload Command.

System Bootstrap, Version 12.3(8r)T8, RELEASE SOFTWARE (fc1)

Technical Support: http://www.cisco.com/techsupport

Copyright (c) 2004 by cisco Systems, Inc.

PLD version 0x10

GIO ASIC version 0x127

c1841 processor with 131072 Kbytes of main memory

Main memory is configured to 64 bit mode with parity disabled

望ましくない変更をスタートアップ コンフィギュレーションに保存した場合は、すべてのコンフィギュレーションをクリアすることが必要になることもあります。 そのためには、スタートアップ コンフィギュレーションを消去し、デバイスを再起動する必要があります。

erase startup-config コマンドを使用すると、スタートアップ コンフィギュレーションを消去できます。

スタートアップ コンフィギュレーション ファイルを消去するには、特権 EXEC モードのプロンプトで erase startup-config または erase NVRAM:startup-config を使用します。

Switch# erase startup-config

コマンドが発行されると、確認を求めるプロンプトが表示されます。

Erasing the nvram filesystem will remove all configuration files! Continue? [confirm]

confirm はデフォルトの応答です。 スタートアップ コンフィギュレーション ファイルを消去するには、Enter キーを押します。 それ以外のキーを押すと、プロセスが中止されます。

注意erase コマンドを使用するときは注意してください。 このコマンドでは、デバイス内の任意のファイルを消去できます。 そのため、使い方を誤ると、IOS 自体やその他の重要なファイルを消去してしまう可能性があります。

デバイスがスイッチの場合、デフォルトの「アウトオブザボックス」コンフィギュレーションに戻すには(出荷時の状態へのリセットに匹敵)、erase startup-config コマンドに加えて、delete vlan.dat コマンドも発行する必要があります。

Switch# delete vlan.dat

Delete filename [vlan.dat]?

Delete flash:vlan.dat? [confirm]

Switch# erase startup-config

Erasing the nvram filesystem will remove all configuration files! Continue? [confirm]

[OK]

Erase of nvram: complete

Switch#

NVRAM からスタートアップ コンフィギュレーションを(スイッチの場合は vlan.dat ファイルも)削除した後で、デバイスをリロードして、RAM から現在の実行コンフィギュレーション ファイルを削除します。 これにより、出荷時のデフォルト実行コンフィギュレーションが実行コンフィギュレーションにロードされます。

図 2 で、実行コンフィギュレーションを RAM から NVRAM に保存するコマンドの入力を試してみてください。