ネットワーク層(つまり OSI レイヤ 3)は、エンド デバイスがネットワーク全体でデータを交換するための機能を提供します。 このエンドツーエンド転送を実現するため、ネットワーク層は 4 つの基本プロセスを使用します。
- エンド デバイスのアドレス指定:電話機が一意の電話番号を持つのと同じように、エンド デバイスにはネットワーク上での識別用に一意の IP アドレスを設定する必要があります。 IP アドレスが設定されたエンド デバイスはホストと呼ばれます。
- カプセル化:ネットワーク層は、トランスポート層から Protocol Data Unit(PDU; プロトコル データ ユニット)を受け取ります。 カプセル化と呼ばれるプロセスでは、送信元(送信側)ホストと宛先(受信側)ホストの IP アドレスなどの IP ヘッダー情報が、ネットワーク層によって追加されます。 ヘッダー情報が追加された後の PDU はパケットと呼ばれます。
- ルーティング:ネットワーク層は、別のネットワーク上の宛先ホストにパケットを送るためのサービスを提供します。 パケットが他のネットワークに移動するには、ルータによって処理される必要があります。 ルータの役割は、ルーティングと呼ばれる処理で宛先ホストへのパスを選択し、その宛先にパケットを送信することです。 パケットは、宛先ホストに到達するまでに多くの中継装置を経由する場合があります。 宛先ホストに到達するためにパケットがたどる各ルートはホップと呼ばれます。
- カプセル化解除:パケットが宛先ホストのネットワーク層に到着すると、ホストはパケットの IP ヘッダーを検査します。 ヘッダー内の宛先 IP アドレスがホスト自身の IP アドレスと一致すると、IP ヘッダーはパケットから取り除かれます。 下位層からのヘッダーを除去するこのプロセスは、カプセル化解除と呼ばれます。 ネットワーク層によってカプセル化解除された後のレイヤ 4 PDU は、トランスポート層の適切なサービスまで配信されます。
各ホスト上で実行されているプロセス間のデータ転送を管理するトランスポート層(OSI 第 4 層)とは異なり、ネットワーク層のプロトコルでは、ホスト間のデータ伝送に使用されるパケットの構造と処理が指定されています。 各パケットで伝送されるデータに関係なく動作することで、ネットワーク層は複数のホスト間の複数の通信タイプのパケットを伝送できます。
図のアニメーションはデータの交換を示しています。