図 1 に示すように、ブートアップ プロセスには 3 つの主要なフェーズがあります。

1. POST を実行し、ブートストラップ プログラムをロードします。

2. Cisco IOS ソフトウェアを見つけてロードします。

3. スタートアップ コンフィギュレーション ファイルを見つけてロードするか、セットアップ モードに入ります。

1. POST の実行とブートストラップ プログラムのロード(図 2)

Power-On Self-Test(POST; 電源投入時自己診断テスト)は、ほとんどすべてのコンピュータのブートアップ時に実行される共通のプロセスです。 POST プロセスは、ルータ ハードウェアをテストするために使用されます。 ルータの電源を入れると、ROM チップのソフトウェアが POST を実行します。 この自己診断テストの間に、ルータは、CPU、RAM、NVRAM などの複数のハードウェア コンポーネントに対して、ROM から診断を実行します。 POST が完了すると、ルータはブートストラップ プログラムを実行します。

POST の後、ブートストラップ プログラムが ROM から RAM にコピーされます。 RAM に格納されると、CPU はブートストラップ プログラムの命令を実行します。 ブートストラップ プログラムの主なタスクは、Cisco IOS を検出して、RAM にロードすることです。

:この時点で、ルータへのコンソール接続がある場合は、画面への出力が始まります。

2. Cisco IOS の検出とロード(図 3)

IOS は通常、フラッシュ メモリ上に格納され、CPU による実行用に RAM にコピーされます。 IOS イメージ ファイルの自己解凍中には、シャープ記号(#)の文字列が表示されます。

IOS イメージがフラッシュ メモリ上にない場合、ルータは TFTP サーバを使用して検索する場合があります。 完全な IOS イメージを特定できない場合は、簡易バージョンの IOS が ROM から RAM にコピーされます。 このバージョンの IOS は問題の診断に役立ち、完全な IOS を RAM へロードする際に使用されます。

3. コンフィギュレーション ファイルの検出とロード(図 4)

その後、ブートストラップ プログラムは NVRAM でスタートアップ コンフィギュレーション ファイル(startup-config)を検索します。 このファイルには、以前保存した設定コマンドやパラメータが含まれます。 ファイルが存在する場合は、実行コンフィギュレーション ファイル(running-config)として RAM にコピーされます。 running-config ファイルにはインターフェイスのアドレスが含まれており、このファイルを使用してルーティング プロセスが開始され、ルータのパスワードをはじめとするルータのその他の特性が定義されます。

NVRAM に startup-config ファイルが存在しない場合、ルータは Trivial File Transfer Protocol(TFTP)サーバを検索することがあります。 ルータは、他の設定済みルータへのアクティブ リンクが自身に存在することを検出すると、コンフィギュレーション ファイルを検索するブロードキャスト メッセージをアクティブ リンク上で送信します。

TFTP サーバがない場合、ルータにはセットアップ モードのプロンプトが表示されます。 セットアップ モードは、基本設定情報をユーザに要求する一連の質問です。 セットアップ モードは複雑なルータ設定を入力するためのものではなく、ネットワーク管理者が使用することは通常はありません。

:このコースでは、セットアップ モードを使用してルータを設定することはありません。 セットアップ モードへの移行を要求されたときは、常に「no」と応答します。 「yes」と応答してセットアップ モードに入った場合は、いつでも Ctrl+C を押してセットアップ プロセスを終了できます。