ネットワーク上でのデバイスの動作を理解するには、2 進表記について調べる必要があります。デバイスはこれらのデータを 2 進表記で処理します。 2 進表記とは、情報を 1 と 0 だけで表す表記法です。 コンピュータは 2 進データを使用して通信します。 2 進データを使用すると、データをさまざまな形式で表すことができます。 たとえば、キーボードから入力した文字は、人が理解できる形式で画面に表示されます。一方、コンピュータは、それらの文字を保存して伝送できるように各文字を 2 進数に変換します。 コンピュータは、これらの文字の変換に ASCII(American Standard Code for Information Interchange; 米国規格協会情報交換標準コード)を使用します。

ASCII コードでは、文字「A」は 01000001 というビット形式で、小文字「a」は 01100001 というビット形式で表されます。 図 1 の ASCII 変換ツールを使用して、ASCII 文字を 2 進数に変換してみましょう。

一般的に、文字を 2 進数に変換する必要に迫られる人はあまりいませんが、IP アドレスでの 2 進数の使用方法については理解しておく必要があります。 ネットワーク上の各デバイスは、2 進数アドレスによって一意に識別される必要があります。 IPv4 ネットワークでは、アドレスは 32 ビットの文字列(1 と 0)で表されます。 パケットには、ネットワーク層で送信元と宛先の両方のシステムに関する固有の識別情報が渡されます。 したがって、IPv4 ネットワークでは、各パケットのレイヤ 3 ヘッダーに 32 ビットの送信元アドレスと 32 ビットの宛先アドレスが含まれます。

ほとんどのユーザにとって、32 ビットの文字列は解釈するのが難しく、覚えるのも困難です。 そこで、IPv4 アドレスを 2 進数ではなく、ドット付き 10 進表記で表します。 つまり、各バイト(オクテット)を 0 ~ 255 までの 10 進数で表します。 この表記を理解するには、2 進数から 10 進数への変換方法を習得する必要があります。

位置表記

2 進数から 10 進数への変換方法を習得するには、位置表記と呼ばれる表現方法の数学的な基本事項を理解する必要があります。 位置表記では、数字が配置される桁によって、その数字が表す値は異なります。 位置表記記数法では、数字の底を基数と呼びます。 10 を底とする記数法では、基数は 10 です。 2 進記数法では、基数 2 を使用します。 基数と底という用語はどちらも同じ意味です。 さらに詳しく説明すると、桁が表す値は、その桁にある数字と底または基数の累乗(その数字が配置されている桁数が指数)を乗算した値です。 この記数法を理解しやすいように、いくつかの例を示します。

10 進数 192 の場合、1 が表す値は 1*10^2(1 X 10 の 2 乗)です。 この 1 は、一般に「100 の位」と呼ばれる位置にあります。 底または基数は 10 で、指数は 2 です。したがって、位置表記では、この位置を「底の 2 乗」と表します。 9 は、9*10^1(9 X 10 の 1 乗)を表します。 10 進数 192 を位置表記で表すと、図 2 のようになります。

10 を底とする記数法では、192 は次のように表されます。

192 = (1 * 10^2) + (9 * 10^1) + (2 * 10^0)

または

192 = (1 * 100) + (9 * 10) + (2 * 1)