IPv6 は、IPv4 の後継技術です。 IPv6 は 128 ビットのアドレス空間を持ち、340 X 10^36 個(340 の後にゼロが 36 個続く)のアドレスを提供します。 もちろん、アドレス数が多いだけではありません。 IETF は IPv4 の後継技術の開発に着手したとき、その機会を利用して IPv4 の制限事項を修正し、機能拡張を追加しました。 たとえば、ICMPv6(Internet Control Message Protocol version 6)には、ICMPv4(ICMP for IPv4)にはないアドレス解決およびアドレス自動設定が追加されています。 ICMPv4 と ICMPv6 については、この章の後半で説明します。
IPv6 の必要性
IPv4 アドレス空間の枯渇は、IPv6 への移行を進める大きな要因となっています。 アフリカ、アジア、および世界のその他の地域で、インターネットへの接続数がますます増加する一方で、その増加に対応できるだけの数が IPv4 アドレスにはありません。 2011 年 1 月 31 日(月曜日)、IANA は地域インターネット レジストリ(RIR)に最後の 2 つの /8 IPv4 アドレス ブロックを割り当てました。 2015 ~ 2020 年の間に 5 つすべての RIR で IPv4 アドレスが枯渇すると予測されています。 そのとき、ISP への残りの IPv4 アドレスの割り当てが完了します。
理論上、IPv4 には、最大 43 億個のアドレスがあります。 RFC 1918 プライベート アドレスとネットワーク アドレス変換(Network Address Translation; NAT)の組み合わせは、IPv4 アドレス空間が枯渇するペースを下げるのに効果的でした。 NAT にはピアツーピア通信を著しく妨げる制限があります。
モノのインターネット
最近のインターネットは、過去 10 年のインターネットとは大きく異なります。 最近のインターネットでは、電子メール、Web ページ、およびコンピュータ間でのファイル転送よりも多くのことができます。 モノのインターネットが、インターネットの進化形になりつつあります。 今では、コンピュータ、タブレット、およびスマートフォンのみがインターネットにアクセスするデバイスではありません。 センサーを搭載した未来型のインターネット対応デバイスには、車載デバイスやバイオメディカル デバイスから家庭用アプリケーションや自然生態系にいたる、ありとあらゆるものがあります。 たとえば、顧客先で行う会議の予定が、自分のカレンダー アプリケーションに自動設定されるという状況を想像してみてください。しかも、その会議は普段の始業時間の 1 時間前に始まります。 この状況では特に、カレンダーを確認し忘れたり、時計のアラームを設定し忘れたりすると、重大な問題となる可能性があります。 ここで、この情報がカレンダー アプリケーションからアラーム時計と自家用車に自動的に直接送信されるとしたらどうでしょうか。 自家用車はあなたがいなくても自動的にアイドリングされ、フロントガラスの氷を溶かして、あなたを会議の場所まで送り届けてくれます。
インターネット人口の増加、限られた IPv4 アドレス空間、NAT の問題、およびモノのインターネットを考慮すると、今こそまさに、IPv6 への移行を開始するときと言えます。