ステートレス アドレス自動設定(Stateless Address Autoconfiguration; SLAAC)
SLAAC とは、デバイスが DHCPv6 サーバを使用せずに IPv6 ルータから、プレフィクス、プレフィクス長、およびデフォルト ゲートウェイ アドレス情報を取得する方式です。 SLAAC を使用すると、デバイスは、ローカル ルータの ICMPv6 ルータ アドバタイズメント(RA)メッセージを使用して必要な情報を取得します。
IPv6 ルータは、ネットワーク上に存在するすべての IPv6 対応デバイスに向けて定期的に ICMPv6 ルータ アドバタイズメント(RA)メッセージを送信します。 デフォルトでは、Cisco ルータは、200 秒おきに IPv6 全ノード マルチキャスト グループ アドレス宛てに RA メッセージを送信します。 ネットワーク上の IPv6 デバイスは、これらの RA メッセージが定期的に送信されるのを待つ必要はありません。 デバイスは、IPv6 全ルータ マルチキャスト グループ アドレスを使用して、ルータにルータ要求(RS)メッセージを送信できます。 IPv6 ルータは、この RS メッセージを受信すると、ルータ アドバタイズメントを即座に返します。
Cisco ルータのインターフェイスは IPv6 アドレスで設定できますが、それを設定しても「IPv6 ルータ」にはなりません。 IPv6 ルータとは、次のようなルータです。
- ネットワーク間で IPv6 パケットを転送します。
- 固定 IPv6 ルートを設定することも、ダイナミック IPv6 ルーティング プロトコルで設定することもできます。
- ICMPv6 RA メッセージを送信します。
IPv6 ルーティングは、デフォルトでは有効になりません。 ルータを IPv6 ルータとして有効にするには、ipv6 unicast-routing グローバル コンフィギュレーション コマンドを使用する必要があります。
注:Cisco ルータは、デフォルトでは IPv4 ルータとして有効になります。
ICMPv6 RA メッセージには、IPv6 デバイスのプレフィクス、プレフィクス長、およびその他の情報が含まれます。 また、RA メッセージは、IPv6 デバイスにアドレス情報の取得方法を通知します。 図に示すように、RA メッセージには、次の 3 つのいずれかのオプションが指定されます。
- オプション 1 - SLAAC のみ – デバイスは、RA メッセージに含まれるプレフィクス、プレフィクス長、およびデフォルト ゲートウェイ アドレス情報を使用する必要があります。 DHCPv6 サーバから提供される他の情報は使用できません。
- オプション 2 - SLAAC と DHCPv6 – デバイスは、RA メッセージに含まれるプレフィクス、プレフィクス長、およびデフォルト ゲートウェイ アドレス情報を使用する必要があります。 DHCPv6 サーバから提供される DNS サーバのアドレスなどの情報も使用できます。 こうした追加情報は、DHCPv6 サーバを検出してクエリーする標準的なプロセスを介して取得します。 これはステートレス DHCPv6 と呼ばれ、DHCPv6 サーバは IPv6 アドレスの割り当てを追跡する必要はなく、DNS サーバのアドレスなどの追加情報を提供するのみです。
- オプション 3 - DHCPv6 のみ – デバイスは、RA メッセージに含まれる情報をアドレス情報に使用できません。 代わりに、アドレス情報はすべて、DHCPv6 サーバを検出してクエリーする標準的なプロセスを介して取得します。 アドレス情報には、IPv6 グローバル ユニキャスト アドレス、プレフィクス長、デフォルト ゲートウェイ アドレス、DNS サーバのアドレスなどがあります。 このケースでは、DHCPv6 サーバは、IPv4 の DHCP と同様のステートフル DHCP サーバとして機能します。 DHCPv6 サーバは、IPv6 アドレスの割り当てと追跡を行います。したがって、複数のデバイスに同じ IPv6 アドレスが割り当てられることはありません。
ルータは、リンクローカル アドレスを送信元 IPv6 アドレスとして使用して、ICMPv6 RA メッセージを送信します。 SLAAC を使用するデバイスは、ルータのリンクローカル アドレスをデフォルト ゲートウェイ アドレスとして使用します。